なんとなく観始めた『ダイナマイトキス』 – 意外とやめられなかった
(正直ツッコミどころは多いのに、なぜか次の話が待ち遠しくなってしまうドラマです。ネタバレはほんの少しありです)
『ダイナマイトキス』は、予告編をきっかけに放送を知ったドラマでした。
主演のアン・ウンジンさんは、2020〜2021年に大きな人気を集めた『賢い医師生活』で、主演ではなかったものの、物語の中で割と重要な役割を担っていました。主演俳優の恋人役として、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
その後、2023年にはナムグン・ミンさんと共演した『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』を通じて、「もうトップ女優と言っていい存在だな」と感じさせるほど、確かなポジションを築いていると感じます。
実力派俳優を数多く輩出している韓国芸術総合学校(韓芸総)出身という点も、自然と納得してしまいます。
一方、チャン・ギヨンさんについては、2024年に大きく注目を集めたビョン・ウソクさんとモデル時代を共にしていた俳優として、顔と名前をうっすら覚えている程度でした。
これまでにも名のある俳優たちと主演作を重ね、除隊後には『ヒーローではありませんが』にも出演していたことは知っていましたが、少し重たい雰囲気に感じて、個人的にはまだ視聴していませんでした。
ところが今回、『ダイナマイトキス』の予告編を見ていると、「これは一体、どんなドラマなんだろう?」と思わず引っかかってしまったんです。
キスをしたのが先? しかもヒロインは既婚者?
そんな疑問が次々に浮かび、「とりあえず一話だけ…」と自然に思わせてしまう。
最初から毎話追っていたわけではありませんが、SNSで感想を語る方が少しずつ増えてきて、気づけば運動をしながら観始めていました。笑
すると、タイトル通り第1話からしっかりとキスシーンがあり、その後の展開がとにかく気になってしまいます。
王道の展開が続き、設定も現実的とは言いづらいのに、なぜか次の放送を待ってしまう。
そんな不思議な魅力のあるドラマです。

次の話までの1週間が長い
少し前の週末、「そろそろ『ダイナマイトキス』を観ようかな」と思ってNetflixを開いたのですが、「あれ?最新話が更新されていない?」と少し戸惑いました。
実はこのドラマ、水曜・木曜放送だったんですよね。
完全に週末ドラマだと勘違いしていて、日曜日に土曜分を観ようとしていたことにあとから気づき、思わず苦笑いしてしまいました。
数日前に観ただけなのに、もうずっと前の出来事のように感じてしまう。
それだけ感情の起伏が激しいドラマ、ということなのかもしれません。
来週には早くも最終回を迎えますが、ここまで感想を書くかどうか迷っていた理由は一つだけ。
設定があまりにも現実離れしていて、真正面から向き合うと正直少し疲れてしまうからです(笑)。
ちょっと待って、こんなのあり得る?
冷静に考えてみると、「それはさすがに…」と思ってしまう点がいくつもあります。
大学卒業後、30歳目前まで公務員試験を受け続けているヒロイン。アルバイトをしながら、自分でも誇れない”姉”としての日々を送っていた彼女。
「結婚式には来ないでほしい」と妹に言われ、一人で向かった済州島でドラマのような出会いがあり、なぜかキスまでしてしまう。
かなり親密な関係になりかけたところで、ヒロインは突然の家庭の事情で男性を残したまま姿を消してしまいます。男性側の立場で考えると、「え、あれは夢だったの?」と思ってしまいそうな状況ですよね。
実は、結婚予定だった妹は結婚式当日に婚約者の金銭トラブルが発覚し、借金取りに追われて姿を消します。そのショックで母親は倒れ、手術を受けることに。
ヒロインは一夜にして生活の基盤を失いかねない状況に追い込まれ、やむを得ず「母親のみ採用」という育児用品会社に偽装就職することを決意します。
そして採用後、そこで再会するのが、上司として現れた、あの男性。
父親の不倫によって生まれた姉と対立していて、病弱な母を支えてきた男性主人公。
愛を信じてこなかった彼が、人生で初めて強く惹かれた女性が既婚者だったと知ってしまう。
しかも、その事実を知りながらキスをしてしまったことへの葛藤。
ここから本格的なすれ違いが始まるのですが、、、
かなり波乱の幕開けです。
現実的に考えると、気になってしまうところ
このドラマを見ているとどうしても現実的な視点が出てきます。
「採用のときに、住民票や家族構成、保険の確認はしないのかな?」と感じてしまうのも正直なところ。
同じ建物に住む幼なじみを夫だと偽る設定も、結婚写真がなく指輪についても曖昧なままです。
夫婦同伴で地方で一泊を過ごす出張に行く場面でも、あれ?母は病院に入院してるし、偽装婚姻関係にある夫(友達)の子供は誰に預けて2人で出張に行けるの?とか。
その後、会社の仕事でまたある島まで行って家に帰っていけなくなる場面とか。
普通ならこんなのあり得ない!だから馬鹿馬鹿しくて見れないと思うはずなのに、それでも不思議と物語についていってしまう力があります。
これこそが、この作品ならではの空気感なのでしょう。
偽装結婚を手助けする幼なじみの男性は、若くして父親になり、今は一人で子どもを育てる家庭的で優しい存在。
しかも前からヒロインのことが好きで男性主人公とは対立する立場。
どこで問題が起きてもおかしくない状況が続き、視聴者はずっと落ち着かないままです。
それでも、やや強引とも言える展開を最後まで押し切っていく。
それが『ダイナマイトキス』というドラマなのだと思います。
ありえない設定を重ねながらも、深く考えずにときめかせてくれる。その割り切りが、この作品の魅力なのかもしれません。
ハラハラするのに、やめられません。
クリスマスの週に最終回
全14話構成のダイナマイトキス。
来週に最終回を控えた今、これから観る価値があるかと聞かれたら、
答えは「はい」です。笑
何も考えずに、少しときめいて、優しくて、少し幼くて、少し慌ただしい。そんな恋愛ドラマを求めている方には、ちょうどいい作品です。
年末にかけて『親愛なるX』『自白の代価』『模範タクシー3』など重たいテーマのドラマが続いていましたが、完成度が高い分、気軽に観るには少しエネルギーが必要でした。
そんなときにこのドラマを観ると、肩の力が抜けて「これはこれでいいかも」と思えてしまいそうです。
主人公と”もう一人の彼”について
最近SNSを見ていて一つ面白いなと思ってるところが、このドラマで特に話題になっている男性主人公とサブ男性主人公の話。
チャン・ギヨンさんは、これまでの落ち着いていて静かなイメージが多い役割から離れています。
恋の前で戸惑い、激しく嫉妬し、感情的で不器用になっていく姿が意外で印象的でした。
重く落ち着いた役柄が多かった俳優だからこそ、今回の率直で少し弱さのある表情に、人間らしさを感じた方も多いのではないでしょうか。
一方、日本でも結構知られているサブ男性主人公のキム・ムジュンさんは、ヒロインの20年来の友人として登場し、視聴者の心を静かに揺さぶります。
子どもの父親であり、長年の男友達という設定も無理なく受け入れられる雰囲気があり、物語の中での存在感はとても大きいです。
理由は分かりませんが、彼が出る場面のアングルと茶色ぽい画面のトーンが彼にとても似合っていると感じました。
第11話ではサブ男主人公ならではの切ない場面もあり、彼にもこの先、ドラマの中ではぜひ幸せになってほしいと、思わず願ってしまいました。
とりあえず1話を
『ダイナマイトキス』は、現実性を重視すると説得力を失ってしまう作品です。
でも、それを少し手放したとき、不思議と次の話を待ってしまってました。
決して完成度の高い物語とは言えませんが、なぜか最後まで観てしまう。
だからこそ、タイトルの通り「なんで観てしまったんだろう」と思いながらも、気づけば来週には最終回まで辿り着いてしまっています。
今日から後残すの3話。
彼女の秘密はついに会社でバレるのか、またどんな形でバレるのか。
まだまだ気になるところが多くて仕方ありません!

