『ユミの細胞たち3』キム・ジェウォンという選択が、自然に感じられた理由
アイキャッチ画像出典:Mystic Actors(作品レビュー目的での引用)
『ユミの細胞たち2』をご覧になった方なら、きっと似たような気持ちを抱いたんじゃないでしょうか。
ユ・バビという人物は、それくらい視聴者の怒りを買った存在でした。
もちろん、バビの元後輩にかかってきた電話はユミの勘違いで、実際には何もなかったわけですが、それまでに積み重なっていた出来事があまりにも多すぎたんですよね。
そんなふうに感情が限界まで積み重なったタイミングで、二人は別れ、ユミは自分のプライム細胞の「恋」を砂漠に送ってしまい、仕事に専念する日々を送り、過去の恋を振り返りながら成長を感じます。

そしてそのタイミングで現れた新しい担当PDのスンロク。
スンロクという名前自体が「トナカイ」を意味しているって、ご存じでしたか(笑)。
だから彼の名刺の英語名がルドルフ・シン(Rudolph Shin)だという設定を後から知って、思わず一人で笑ってしまいました。
いかにもウェブコミックらしくて、そこがまたいいなと思います。
聞いた話では、原作ではスンロクがときどき「何事もなかったかのように」背景に登場していたことがあるそうで、本当だとしたら、これってなかなかゾッとしませんか。
『ユミの細胞たち2』を観ていて改めて感じたんですが、人って本当に不思議で、自分と関係がないと思っている相手のことは、まるで紙切れみたいに認識してしまうことがありますよね。
意味も持たせず、記憶にも残らない存在として処理してしまう、あの感覚です。
スンロクというキャラクターは、まさにそういう人物でした。
ユミの世界にまだ入っていなかったから、確かにそこにいたのに、いなかったも同然の人。
冷たく見えて、プライム細胞は「恋」
私が知っているスンロクは、内向的で自分なりのルールがはっきりしていて、人と長時間一緒にいるのが得意ではない、いわゆる「一匹狼タイプ」。
編集者として働く理性的な人物で、全体の雰囲気は仕事のできる理系男子に近い感じです。恋愛にはかなりの壁の高いタイプでもあります。
顔をほとんど隠してしまう大きな眼鏡をかけているという設定も印象的ですよね。
(そして後に、ユミが眼鏡を外した姿を見てユミが惹かれるというのも……これはもう有名な話ですが。)
MBTIで言うなら、ISFJっぽいかな、なんて一人で考えたりもしました。
何より大事なのは、スンロクのプライム細胞がユミと同じ「恋」だということ。
だけどこの人の恋の細胞は他のものを深く分析することに使われ、自分の役名をしっかり果たせてない!(ユミに会うまでですよねきっと)
仕事中や公の場ではクールに見えるのに、プライベートな領域に入ると180度変わって、心地よさを求め、感情的で、自分の世界の中で静かに崩れていくこともできる人。
外側は冷たそうなのに、中身はやわらかくて、どこか大型犬みたいな雰囲気を持った可愛らしいキャラクターです。
実際に原作者さんも、スンロクを描く際の参考としてパク・ボゴムさんやカン・ハヌルさんを挙げていたそうで、その話を聞いたとき、キャラクターの輪郭が一気にはっきりした気がしました。
そして、数多くの有名俳優がスンロクになると噂されていた中上がってきたのが、俳優のキム・ジェウォンさんでした。
スンロクにピッタリと噂の俳優キム・ジェウォン
正直に言うと、『ユミの細胞たち3』でキム・ジェウォンさんがキャスティングされたと聞いたとき、最初に浮かんだのは期待よりも疑問でした。
「え……本当に似合うかな?」という反応が、かなり自然に出てきたんです。
すでにアン・ボヒョン、パク・ジニョンという強いイメージの俳優たちを経てきた後だったので、なおさらそう感じたのかもしれません。
二人とも主演としての存在感が確立されていて、ユミの人生の中で、それぞれ異なる時期に深い痕跡を残した人物でしたから。
だから最初は、「このポジションを本当に埋められるのかな?」という疑問が先に立ちました。
キム・ジェウォンさんが駄目というわけではなくて、単純にこれまでの作品で強く刻まれたイメージが、まだそこまで多くないという理由からです。
それもそのはず、キム・ジェウォンさんなんと 2001年生まれ!この記事を書いてる時点でまだ誕生日を過ぎてないので、24歳。キムコウンさんの10歳年下なんです、笑。

これまでは当然ながら今の若さを活かせる学生役、いわゆる制服姿の役が比較的多く、『私たちのブルース』でチャスンウォンさんの子役、そして『十九の海月たち』では心に傷を抱えた高校生を演じていますし、他の作品でも「制服」のイメージがとても強かった。
前ボタンを外してTシャツを覗かせたラフな着こなしに、少し無造作な髪型がとてもよく似合っていて、淡々と放たれるセリフも印象に残りました。
私は俳優を見るとき、一本の作品だけで判断するタイプではなくて、フィルモグラフィーを追いながら、「あ、この人はこういう質感を持っているんだな」と少しずつ掴んでいくほうなんですが、キャスティングのニュースを聞いた時はまだキム・ジェウォンさんはまさに今、その過渡期にいる俳優だと感じていました。
『オク氏夫人伝』と特別出演で印象に残る顔
これはキャスティングニュースの前ですが、私がキム・ジェウォンさんをはっきりと認識したのは『オク氏夫人伝』でした。
チュ・ヨンウさん演じる人物の弟役として登場したのですが、時代劇というジャンルが意外なほどよく似合っていて、どこか人懐っこく、それでいて素朴な雰囲気が印象的でした。
いわゆる「年下男子」的な見た目ではあるものの、その内側に静かな芯の強さが感じられる役だったんですよね。

科挙に合格するほど聡明で、人柄も正しく、縁談の話が絶えない人物ですが、心から愛した女性が実は目的を持って近づいてきたと知ったときの裏切られた気持ちと混乱を、とても繊細に表現していました。
憎みきれないけれど、無条件に善とも言えない、その曖昧な境界線がすごくよかったです。
次に観たのが『重症外傷センター』の特別出演でしたが、チュ・ジフンさんと海外医療奉仕団で一緒に活動していた軍医役として登場します。
出番は決して多くなかったのに、『オク氏夫人伝』の直後だったこともあって、「あ、この人だ」とすぐに思い出せましたし、前作の印象とも自然につながりました。
最終話では、続編があれば再登場しそうな余地を残す形になっていて、この俳優が着実にキャリアを積み重ねている途中なんだな、という印象も受けました。
ただ、演技の深みという点では、まだ「これから広がっていく段階」という感覚も正直ありました。
違う顔、『ハイラキー』と『キング・ザ・ランド』でスンロクへとつながる線
そんな状態で『ユミの細胞たち3』のキャスティングを聞いたわけですから、最初の反応が慎重だったのも、ある意味自然だったのかもしれません。
ところがその後、『ウンジュンとサンヨン』でキム・ゴウンさんの初恋役として登場するのを観て、少し考えが変わりました。
正確に言うと、「あ、この組み合わせ……意外と悪くないかも」という感覚です。
キム・ゴウンさんの自然体な魅力と、キム・ジェウォンさんの淡白な印象がぶつからず、うまく混ざっているように見えたんですよね。
その後さらにフィルモグラフィーを追ってイ・チェミンさんとも共演した『ハイラキー』を観たのですが、ここではまったく違う顔を見せてくれました。
財閥の御曹司で、すべてを手に入れていて、自分の立場を当然のように使う人物。
好きな相手の前では執着に近いほど感情が先走り、傷ついたときにはその未熟さがそのまま露わになるキャラクターでしたが、その居心地の悪さをかなり説得力をもって演じていたと思います。

回想シーンで見せる優しさと、真実を知った瞬間に崩れていく表情との温度差もはっきりしていて、「あ、この人、思っていたより振れ幅が大きいかもしれない」と感じました。

そして少し遅れて観た『キング・ザ・ランド』では、むしろ『ユミの細胞たち3』で私たちが目にするかもしれない姿に一番近い印象を受けました。
職場でつらい状況にある先輩を、目立たないようにそっと助け、敬語を使いながらも距離を縮めていく感じが、かなりときめいたんです。
年下だけど軽くはなく、むしろ落ち着いていて安定感がある。
『キング・ザ・ランド』に出演した時なんて21歳になったばかりの頃なのに、身長(187.8cm)のせいなのか、声のお陰なのか、演技なのか分かりませんが、ここまで大人しい雰囲気を出せるなんて、凄くない?!と。
過去が少し複雑でも、それを理由に引き下がらず、まっすぐ向き合っていく姿勢まで含めて、「これ、ユミと並べたらかなり自然じゃない?」と思わせる場面がたくさんありました。
スンロク = キム・ジェウォンという俳優の分岐点
ユミの元恋人たちを振り返ると、アン・ボヒョンが演じたウンイは、ユミと同じ目線で一緒に揺れながらも、少し不器用な恋人でしたし、パク・ジニョンのユ・バビは年上として余裕をもってユミをリードし、支えてくれる存在でした。
そう考えると、キム・ジェウォンさんが演じるスンロクは、その中間か、あるいはまったく別の質感を持つ人物になるのかもしれません。
内向的で自分のルールがはっきりしているけれど、プライム細胞が「恋」だという設定まで含めると、表向きは静かでも、内側には深い感情を抱えている人物である可能性が高いですよね。
最初にキャスティングを聞いたときの「え……この人?」という反応が、フィルモグラフィーを一つずつ辿るうちに、「もしかしたら、かなり合うかもしれない」に変わっていったのも、たぶんそのせいだと思います。

まだ実際の姿を見たわけではありませんが、可愛らしくて柔らかいイメージのキム・ゴウンさんとのツーショットも、思った以上に自然にハマりそうですし、アン・ボヒョンやパク・ジニョンとはまた違う温度のロマンスが生まれるかもしれない、そんな期待も膨らみます。
何より今回『ユミの細胞たち3』は、既に上り盛りのキム・ジェウォンさんにとっても大きな分岐点になるはずです。
これまで積み重ねてきたイメージが、『ユミの細胞たち3』という世界の中でどんな顔として整理されるのか、そしてこの作品が彼の代表作のひとつとして残るのかどうか、それが一番気になります。
あとはもう、4月に実際にその姿を確かめるだけですね。
ユミの新しい季節が始まるその瞬間を、どんな表情でスンロクと一緒に迎えることになるのか。
あ、そう言えばYouTube芸能ホン・ソクチョンの「宝石箱」でもイ・チェミンさんと一緒に出演しています。これからがとても楽しみな俳優です。
