『誰だって無価値な自分と闘っている』あらすじ・ネタバレ | ク・ギョファンが描く現代人の孤独
* この記事は4月28日に更新・アップデートされています。
周囲の人たちが次々と成功していく中で、自分だけが20年間映画監督としてのデビューを果たせず、取り残されているように感じる一人の男、ファン・ドンマン。
2026年4月18日から放送がスタートしたJTBC土日ドラマ『みんな自分の無価値さと闘っている』(通称:モジャムサ)。
『マイ・ディア・ミスター』『私の解放日誌』を手がけたパク・ヘヨン作家と、『椿の花咲く頃』のチャ・ヨンフン監督という組み合わせだけで、放送前から”今年上半期最大の期待作”と呼ばれていた作品です。
ク・ギョファン、コ・ユンジョン、オ・ジョンセ、カン・マルグム、パク・ヘジュンなど、演技力で評価されている俳優たちが揃った全12話構成。Netflixでも視聴可能です。
この記事では、
- 展開あらすじまとめ
- 登場人物の関係性
- 感想と考察
このドラマを見ながら感じたこと、そして物語の流れをまとめています。
『誰だって無価値な自分と闘っている』ドラマ基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語タイトル | 誰だって無価値な自分と闘っている |
| 韓国語タイトル | We Are All Trying Here |
| 主演 | ク・ギョファン、コ・ユンジョン |
| 配信 | Netflix |
| 放送開始 | 2026年4月18日 |
| 全話数 | 12話 |
| ジャンル | ヒューマンドラマ |
* キャスト・配信情報は公開されている情報をもとに整理しています。感想や解釈部分は、作品を視聴したうえで個人的にまとめたものです。
『誰だって無価値な自分と闘っている』主役紹介
ファン・ドンマン(俳優ク・ギョファン)
『D.P. -脱走兵追跡官-』でチョン・ヘインと最高のケミを見せた実力派俳優。映画『もし、わたしたち』でのロマンス演技でも注目され、人間の繊細な内面を絶妙に表現する。
20年間映画監督デビューを果たせない男性。周囲が次々と成功していく中、自分だけが取り残されているように感じている。「自分の無価値感」という誰もが抱えうるテーマと向き合う。


ビョン・ウナ(俳優コ・ユンジョン)
『ムービング』で圧倒的な存在感を放ち、アクションから繊細なロマンスまで幅広いスペクトルを見せた実力派俳優。『還魂』シリーズ、『この恋、通訳できますか?』など話題作に立て続けに出演し、今や韓国ドラマを代表する女優の一人。
映画社の企画PD。するどいシナリオ分析力から業界では「斧PD」と呼ばれるほどの実力者だが、感情が限界に達すると鼻血が出るほど深いトラウマを抱えている。表面上は揺るぎない冷静さを保ちながら、内側では捨てられることへの恐怖と孤独に静かに蝕まれている人物。

『誰だって無価値な自分と闘っている』感想・レビュー
冒頭から印象的でした。
オ・ジョンセの表情にじわじわと滲む苛立ち。言葉がなくても、感情がそのまま画面に広がっていく。
全体の色味も、このドラマの空気感と見事に一致している。
カメラは役者の感情に寄り添うように動き、説明ではなく”体験”をさせてくれてるような気がして、「演技を見ている」という感覚がなく、ただこの世界を覗いているような感覚でした。
実は私、『マイ・ディア・ミスター』も『私の解放日誌』も、途中までしか見られず、終えることができないドラマでした。
嫌いだったわけじゃない。ただ、あまりにも現実に近すぎて、自分の感情に触れすぎる気がして止めてしまったんです。
だから今回はどうなんだろうーと思う自分がいましたが、今回は”映画を作る人たちの話”で自分とはだいぶ離れていそうだから、もしかしたら最後まで見られるかもしれないと期待しています。
物語がどこに向かうのかは、まだまったく見えてません。
ウナはどこかで傷ついた過去を持っていそうですし、今はまだそう見えないけどギョンセの妻、ドンマンの兄、そして8人会で唯一友達になってくれているジュンファンが味方になりそうな人たちがいます。
20年もの下積みを経て、「壊れることで自分を証明する」と言い切ったドンマンが、これからどんな行動に出るのか。
そして、「天気を作ります」という彼のシナリオはこれからどう発展していくのか。
現時点ではまったく先が読めず、これからどんな展開が待っているのか気になって仕方がない、そんな第1・2話だったと思います。
またドンマンとウナの間に何かあるとしたら、それはときめきよりも現実に近い、でも、その中にある温かさを感じるような、そんな関係性の変化も期待されます。
すぐに何かが解決するわけじゃない、それでも一日ずつ生きていくこの人物が、どこに辿り着くのか。
静かに、でも確実に気になるドラマです。
1話・2話までの展開・あらすじまとめ
ファン・ドンマンという人間
物語は、パク・ギョンセ(オ・ジョンセ)が苛立ちを抑えきれないような表情で脚本を書いているシーンから始まります。
あのわずかな表情の変化だけで、一気に物語の中に引き込まれる導入でした。
主人公ファン・ドンマン(ク・ギョファン)は、20年間デビューできていない映画監督志望の男。映画業界に関わる仲間たちで構成された「8人会」の中で、唯一デビュー果たせてません。
彼は溶接工の兄と、カーテンで仕切った狭い部屋で暮らしています。
彼の責任である管理費も滞納中。
昼はケータリングのアルバイト、夜はシナリオ教室の講師。わずかな収入で生活しながら、借金の督促電話にも追われているドンマン。月40万ウォンを得るために、”感情を測定するウォッチテスト”にも参加中の彼です。
「貧しさは、体中の細胞一つひとつに刻まれている」
ドンマン兄弟には、お金がありません。
それでも彼は、「天気を作ります」というシナリオにしがみつき、監督デビューを目指し続けています。天気が消えてしまった世界に、再び天気が戻る物語。窓の外を見ながら、彼は静かに呟きます。
「世界が終わったかどうかは、天気があるかどうかで決まる。空に雲があって、風が吹いて、木の葉が揺れている限り、そんな天気がある限り、世界はまだ終わっていない。」
誰からも好かれない男
8人会のメンバーも裏で彼の悪口を言い、どこかで距離を置いています(一人の友達を除いては)。
誰も、彼が映画を完成させるとは思っていません。
ドンマンは、その不安をかき消すようにひたすら喋り続ける。それが逆に、パク・ギョンセの神経を逆なでします。
制作支援の公募にも、おそらくまた落ちてしまった彼。
その後、ギョンセ監督の映画の試写会に出席したドンマンは、打ち上げの場で毒を吐きます。自分の感情ウォッチが「退屈」「イライラ」と反応していた、と。
そんなことをしていると映画のヒロインを演じた女優が、彼のすぐ目の前に座ります。
「私の演技に不満があるんですか?」
帰り道、支援に落ちたことを確認したドンマンは、狂ったように走りながら叫びます。
「成功して証明できないなら、壊れて証明するしかないだろ」
一方、次の日ギョンセはドンマンが残したコメントに激怒し、事故を起こしかけ、怪我によって舞台挨拶にも行けなくなってしまいます。
ビョン・ウナ、そして鼻血
ビョン・ウナ(コ・ユンジョン)は映画制作会社に勤める女性で、ドンマンの顔見知り。
ある日、偶然線路の上で再会し、言葉を交わします。
ドンマンは言います。
「僕は、話すことで力が出るんです。自分の声の振動で、エネルギーが満たされる。」
実はウナは、以前ドンマンが自分の名前を呼ぶ声を聞いたことがありました。
「シナリオ、読ませてください。」
ウナもまた、彼が映画業界でどう扱われているかを知っています。そして彼女自身も、感情ウォッチテストの参加者。
制作会社の代表、チェ・ドンヒョンからは「最近は脚本をちゃんと批評しない」と注意を受けています。
彼のシナリオを読んだウナ、そしてドンマンをオフィスに呼び出したドンヒョンは、ウナに彼のシナリオについてどう思うかハッキリ伝えるように要求します。
ウナは、「主人公からは決定的な”パワー”が感じられません。主人公は無理やり”強い人間”にしてる。でも書いた本人にそれがないから。創る人は、自分にないものは作れない。」
その瞬間、ドンマンのウォッチはストレス反応が。
そしてウナも、その後、自分の傷を思い出し、鼻血を流します。
理由がはっきりしないなんらかの理由で、時々鼻血が出ている彼女です。
面と向かって否定されても引き下がらない
その場でチェ・ドンヒョン(チャン・ウォニョン)は、ドンマンに言い放ちます。
「もうやめろよ。それ、いつまでしがみつくつもりだ?」
ドンマンは怒りを抑えきれず、「俺の人生がなんでアンタの気に入らないといけないんだよ」と本当は、その顔を殴りたかったけど、滑って一人で倒れてしまします。
そして、家に帰った彼は感情を抑えきれず、食べ物をむさぼります。
ウナは、そんなドンマンを見下す同僚たちにこう言い返します。
「怖くて、しゃべり続けてるのよ。何も話さなかったら、自分が存在してないみたいだから。」
その噂は8人会にも伝わり、、、
ギョンセは激怒し、「あいつを追い出せないなら俺が抜ける」と言い出します。
最終的に、彼の妻ヘジン(カン・マルグム)がドンマンに告げます。
「もうここには来ないで。」
ヘジンは夫の肩を持ちますが、実は彼女はギョンセもまた、ドンマンと同じ種類の人間で、だからこそ自分が彼をなんとしてもデビューさせたと話します。
アジトのドアに張り出される「ファン・ドンマン」立ち入り禁止、という貼り紙。
ドンマンの兄は普段「技術でも身につけろ」「簡単な人間だと思われるな」などと言っていたが、アジトのドアに書かれた立ち入り禁止の文字を見て激怒し、「うちの弟を仲間外れにしてんのか?」と8人会の仲間たちに詰め寄ります。
家に帰り、ドンマンと話す兄。
「何がしたいんだ。やれることは全部やってみろ、助けてやるから」
そう言われたドンマンは答えます。
「欲しいのは、不安じゃない人生だよ。」
兄は「誰かと会え。お前は一人で老いていける人間じゃない。」
次の日、またもや自分の名前を大きな声で叫んで自分を宥めていたドンマン。
そしてドンマンはドンヒョンのもとへ行き、ついに爆発します。
「輝いてる奴らだけ周りに起きたいだろう?そんな奴らばかり周りにいると何が本当に輝いてるかなんて見えなくなるさ。俺はもっと無価値になってやるよ。もっとどうしようもなくなって、お前らを苛立たせてやる。その先で、何かを掴むから。俺の物語を見てろ。止められるもんなら止めてみろ。」
オフィスでそれを見ていたウナは、どこか痛快そうな表情を浮かべています。
帰り道、ドンマンにあったウナは祖母の手料理を分けます。
「どうすればパワーができるの?」と聞くドンマンに
「読んでいたら、あ、この人は誰かを本気で愛したことがないんだなと感じてしまって。愛って力になるのに。」と答えるウナ。
二人の間で、何かが始まりそうな気配が、静かに流れていました。
3話・4話までの展開・あらすじまとめ
ドンマンとウナが、感情ウォッチのチェックの場所で偶然会う、と言うシーンからスタート。
その後、二人は漫画喫茶で一緒に漫画を読みながら、「何が人の心臓を動かすのか」について話し始めます。
ウナは、自分にバツ印をつけた人が、自分の心臓を動かすのだと話します。
ドンマンは、みんなが自分を嫌っていて、自分もみんなのことが嫌い。そしてある日車の接触事故を見たとき、感情ウォッチに「ときめき」が出たことを知ってしまったと告げます。それをきっかけに彼は、「自分はただ破壊的な人間」なのだと、どこか受け入れてしまった、と話すんですよね。
さらにドンマンはパク・ギョンセの映画が大失敗し、悪評があふれている状況に、快感を覚えたと正直に言います。同じように何者でもなかった頃は親しかったのに、ギョンセは彼に撮って「古くから知っているだけ」の関係になってしまってました。
そこには、近いようで遠い、苦い距離がありました。
だけど全てを注意深く聞いていたウナはドンマンに「あなたは千の扉が全部開いているみたい」と言います。でも同時に、ドンマンが書いたシナリオはドンマンらしくなかったとも言うんですよね。
シナリオはそうじゃなかったけど、監督本人のほうがずっと魅力的で、もっと動物的で、もっと温かいと。
その言葉を聞いた瞬間、緑の光が灯るドンマンの感情ウォッチ。
ドンマンはそれを隠そうとしますが、この時点で、彼の中にはもうウナが入ってきているように見えました。
ギョンセ、またドンまんに爆発する
実はドンマン、ギョンセに対してかなり残酷な言葉をネットのコメント欄にちらばめていました。
そしてギョンセが今まで映画を作れたのは、妻がプロデューサーで、夫の趣味にお金を出してくれたからだ、というようなことも、グループチャットに送ってしまいます。
ギョンセももちろん、ドンマンがネットに悪口を書き込んでいたことを知っています。
そこからギョンセは、ドンマンに向かって自分の感情を一気にぶつけます。
「リングに上がった人間と、上がったこともない人間は違う。生まれた人間と、生まれてこなかった人間くらい違う。お前は何者でもない。」
「ナッシング」だと。
俳優のオ・ギョンセさんが5分も続いた長い独白を一人で引き受けていて、その圧がすごかった。
怒りというより、劣等感や悔しさや、自分だけは何かを成し遂げたのだと思いたい気持ちが、一気にあふれ出しているようでした。
ギョンセは言葉で、ドンマンを撃っていました。
ドンマンの兄、生きてはいるけれど
家に戻ったドンマンは、薄々と何かに気づいたように浴室へ。
首に縄をかけようと片手で縄を掴みながら震えている兄を見つけます。
あまりにも落ち着いて兄に接するドンマン。
もしかしてこういうことが以前にもあったのでしょうか。
ドンマンは兄に、大丈夫だ、酒を飲んでいたのに急に何をしているんだ、飯を食べていないからだ、キムチチャーハンを作ってやるから降りてこい、と声をかけます。
兄は息を大きく吹き、泣きながら降りてきます。
そしてドンマンは、兄が中学生の頃に書いてくれた、自分が一番好きだった詩を読み始めます。
憎しみと虚無についての詩。
中学生が書くには、あまりにも痛い詩でした。
パク・ヘジュンさんが作るシーンの雰囲気。なぜこの役にキャスティングされたのか、ここで少しわかった気がしました。
兄もまた、かつては作家を夢見ていた人だったのでしょう。
作家は、国語辞典を一度読んだ作家と、読んでいない作家に分かれると言って国語辞典を三度も読んだ人。
溶接の仕事をしながら、、、彼は生きているけど、心は既に死んでしまっているのかもしれません。
ウナと元恋人、そしてシナリオ
一方、パク・スヒョン監督はコバクフィルムの代表(ギョンセの妻)から高く評価されます。
けれど同時に、受賞作からは別の人間の匂いがする、と言われます。
男が書いた女性の台詞と、女が書いた女性の台詞。シナリオを書く人には見えてしまったのでしょう。
実は、その女性の台詞を書いた人は、ウナでした。
けれどウナの元恋人は、二人で書いたという話が広まることを嫌がります。
ウナの家に勝手にやってきて、ウナが添削していたドンマンの台本を見て、暴力的でひどい言葉を投げつける姿は、見ていて本当に腹が立ちました。
それでもウナは、今回は引き下がるつもりはないように見えます。
証拠もある。
そして何より、もう「おとなしくて、扱いやすい人」のままでいたくない、そう決めているのかもしれません。
破壊的な人間ではなかったという安堵
元恋人と争ったあと、鼻血が止まらなくなったウナは病院へ。
そこで彼女は、自分の感情ウォッチに「安心」と出た瞬間が、ドンマンと一緒にいた時だったと話します。
実は、ウナは九歳の頃、初めて自分にバツ印をつけた人がいて、その頃から、ストレスで鼻血が出るようになった。
そしてその人は、なんと母親でした。
ウナは母を、母と呼ぶことすらできません。
その後、ドンマンはウナに車が向かって突っ込んでくるような瞬間を見て、思わず急いで駆け寄ります。
ウナが無事だと確認したあと、感情ウォッチに出ていたのは「驚き」「戸惑い」「心配」と言う感情。
彼はその瞬間の感情が「ときめき」ではなかったことに安心します。
自分は破壊的な人間ではなかったのかもしれない。
二人は一緒にいる時に「安心」を覚えるようですね。
ウナとドンマンの宣言
ウナは制作会社の代表にまたもやひどいことを言われるのですが、今までとは違って彼のオフィスに入っていきます。「私、乱暴に接してくる誰かがいる時に、避けて通るのか、折って進むのかを選択してます。そして今回は、折って進むことを選ぼうと思う。」
しかも、、、皮肉にもウナはその代表が探したい女優の実の娘。。。後でこれを知らされる彼がどんな顔をするかみたい、と期待している人は私だけでしょうか。
代表の面に向かって「おとなしいけれど、なめられていい人間ではない。弱い子だと勘違いしないでほしい。」と言う彼女、カッコ良かったです。
ドンマンもまた、ギョンセに言い返します。
グループチャットに書いた文章のほうが、今までお前が書いたシナリオよりずっと面白かったと。
お前たちは、私が不幸だろう、お前みたいになりたいだろうと思うかもしれないけど「半地下に住んでいても、不幸なふりをしていないのではなく、本当に不幸ではない。デビューすれば別の世界が広がると思っていたけれど、結局、誰だって同じくらい不幸で、同じくらい幸せなのだと。」
彼のこの言葉、すごく刺さりました。
そしてドンマンは、人生はストーリーで、物語が終われば死ぬ。
明日地球が滅びても、自分は冗談を言う、それが自分が存在している証拠なのだと言うのですが、、、
この部分、本当に人生ってその通りだよね、と思えました。人生にそれ以外何があるの?と。
その瞬間、遠くからドンマンの話を聞いていた兄が現れて、弟を殴ります。
二人は取っ組み合いになり、結局警察署へ。
仕事は?と言う警察にドンマンが答えようとした瞬間現れたウナ。
そしてドンマンを映画監督だと紹介し、自分が担当プロデューサーだと言います。
ドンマンも、ウナも、ギョンセも、ドンマンの兄も、みんなそれぞれ誰かにバツ印をつけられ、毎日「自分には価値なんだろう」と戦っていました。
そして、自分が感じていること、自分がまだここにいることを、どうにか証明しようとしている人たち。
「ク・ギョファン」「コ・ユンジョン」関連リンク
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