『かかし』あらすじ・ネタバレ | パク・ヘス主演、実話ベースの衝撃ミステリー
* 本記事は5月19日に更新・追記されました。
このドラマは軽い気持ちでは見られない作品です。
見始める前から分かってはいたんですが、実際に見てみると、その重さが想像以上で…。
『殺人の追憶』のモチーフにもなった華城連続未解決事件をベースにした作品で、ただの犯人探しではなく、その時代を生きていた人たちの空気や緊張感までしっかり描いているドラマで間違いありません。
この記事では、
韓国ドラマ「かかし」のあらすじ、ネタバレ、見どころ、時代的な背景を含む感想までをまとめています。
『かかし』11話 12話 最終回 ネタバレ感想|再審の結末とドラマが残したもの(⭐️5月27日更新)
『かかし』7話の感想・レビュー ついに明らかにされる犯人*5月12日更新
『かかし』ドラマ基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本語タイトル | かかし |
| 韓国語タイトル | The Scarecrow |
| 主演 | パク・ヘス、イ・ヒジュン |
| 配信 | U-NEXT 独占配信 |
| 放送開始 | 2026年4月20日 |
| 全話数 | 12話 |
| ジャンル | ミステリー / スリラー |
* キャスト・配信情報は公開されている情報をもとに整理しています。感想や解釈部分は、作品を視聴したうえで個人的にまとめたものです。
『かかし』感想・正直レビュー
華城連続未解決事件をモチーフにしているということもあり、どこまでのディテールを入れてくるのだろうと思いながら見たのですが、実際あったことの多くを取り入れいているというが分かりました。
実際の犯人の話は、Netflixにもドキュメンタリーとしても配信されているので、詳しい内容が気になる方はご覧になってみてください(The hours of the monster「怪物の時間」というタイトルでUnanswered Questionsという番組で放映されたものですが、日本配信を探すのは現時点で難しいかもしれません)。
この事件が頻繁に起こっていた1980年代後半から1990年前半以降、実はこの事件、迷宮入りしておりました。時代的にまだ事件の捜査にDNAが使われておらず、セキュリティーカメラなんてない頃。
そして真犯人がついに明らかになったのは、2019年の末頃で、すでに刑務所にいたイ・チュンジェ、という人物でした。
実は彼、事件が起こっていた当時、何度も取り調べを受けていたのにも関わらず、なぜか捜査から逃れてしまっていたんだとか。周りから評判が悪くない普通の人で、プライベートな人だけど、目立たない穏やかな人だったという証言が多かったようです(もちろん元妻からの証言を聞くと彼の素顔も明らかになりますが)。
規律と規範がしっかりあり、階級がはっきりする組織生活(軍隊・刑務所のような場所)があっていた、という話もあります。
このドラマで詳しく見られるのはおそらく、警察と検事側で犯人を捕まえるためにどのように事件を追っていたのか、現実では再現できないことを含めて作ってくれるのではないかと思います。
この事件は、まだ幼かった自分が覚えているくらい韓国の歴史の中でも大きく取り上げられた事件で、未解決事件として長年、当時社会的にも大きな話題となっていました。
どれだけ酷い事件だったのかをわかっているだけに、見るのは結構辛いかもと思ったのですが、ドキュメンタリーを見るよりは距離をおいて見れる気がしました。
今の感じだと、ソン・ゴニさんが演じるギボムが犯人かもしれない、というヒントがドラマの中に沢山散らばっているのですが、犯人は意外とギファンかもしれないよねという感じで、推理しながら見ているところです。
話の展開や映像美、40年近く前の時代的な描写、俳優たちの演技も申し分なく、見応えがあると感じました。これからの展開とても気になるスリラーとして、おすすめできると思います。
『かかし』7話の感想・レビュー ついに明らかにされる犯人の素顔
あまりにも大きな衝撃で、まだ頭の中が整理できないまま、この文章を書いています。
これまでの『かかし』の構成は、ドラマの始まりと終わりが2019年の現在、カン・テジュが犯人イ・ヨンウと面会しながら話をする場面で、その間に1988年の過去に起きた出来事が描かれていく、という形でした。
そして今回の話数までは、犯人の顔がはっきり映されていなかったため、いったい誰が犯人なのか分からない状態でした。
けれど6話のラストで、犯人はカン・テジュ刑事がすでに知っている人物だということが分かりましたし、実はその犯人の名前が、ほんの少しだけ画面に映っていたこともあったんですよね。
6話ではギボムの恋人であり、結婚を約束し、さらにギボムの子どもを妊娠している自分の妹スニョン。そして、ギボムが拷問を受けた末に自白して捕まってました。
そうした状況の中で、他に犯人になり得る人物を探していたテジュは、当時はまだ十分に検証されていなかった科学捜査を進めていきます。
先週予想していた通り、ギボムの足の悪い友人イム・ソクマンは、血液型、体毛から出た成分、事件現場の近くにいたこと、目撃者の証言と行動が一致していたこと、つまり足を引きずっていたこと、そして赤いかばんとハンカチを持っていたことなどを理由に、また別の有力な容疑者として浮上してしまいます。
たしかに、ここまで多くの接点があると、疑いを避けるほうが難しいのかもしれません。
元々は慎重なテジュに「ギボムを救わなければならない」という強い動機がなければ、ソクマンをすぐに容疑者として追い詰める理由もなかったかもですが。
けれど、拷問を受けて自白をし、体がひどく傷ついていたギボムを、裁判に進む前になんとか早く救わなければならない。その一心で動いていたテジュは、結局ソクマンを拘束してしまいます。
イム・ソクマンという人物は、実在の人物をかなり近い形で描いているように感じました。
実際の事件でも、小児まひで足を引きずっていたユン・ソンヨさんという方がいました。眠らせてもらえず、殴られるなどの拷問を受け、虚偽の自白をしてしまい、あまりにも理不尽なことに20年間も刑務所で過ごすことになります。
無期懲役を言い渡され、長い獄中生活を送った彼は、最終的に真犯人の自白と証拠品の再検討を経て、2020年、無罪を言い渡されました。
実際の犯人であるイ・チュンジェの血液型はO型だったことが後に明らかになっていますが、当時は「犯人の血液型はB型だ」と断定された状態で捜査が進められていました。
ほかに科学的な捜査方法が十分になかった時代だったこともあり、血液型の情報があまりにも決定的なものとして扱われてしまうケースが多かったのだと思います。
また、体毛鑑定も確実な方法ではないため、現在では捜査で使われなくなっているそうですが。
そして、ここからはびっくりしてしまうとんでもない展開になってしましました。
ここから先はしっかりネタバレがありますので、ご注意ください。
『かかし』1話・2話までの展開・あらすじまとめ(ネタバレあり)
* ここからはしっかりネタバレがありますので、知りたくないという方は感想だけ読んでみてください。
2019年、現在
授業中のカン刑事(教授)。そのとき、イ巡査が講義室に入ってきて、30年前のカンソンの連続事件の真犯人が捕まったと伝えます。
犯人はイ・ヨンウ。すでに刑務所に収監されていましたが、仮釈放審査を通過し、模範囚として釈放される寸前だった人物です。彼は94年に義妹に関わる事件で無期懲役となっていました(これは実際の事件での話です)。
イ・ヨンウは、自分を取り調べる人物としてカン刑事を指名します。
震える手で過去の事件ファイルの箱に触れるカン刑事。箱の中には、かかしや新聞、録音されたテープが入っています。
1988年、過去
警察表彰式に現れた、どこか軽薄な雰囲気の刑事カン・テジュ。拍手をしながらある刑事の隣に座ると、その場で収賄の疑いにより手錠をかけます。
しかし…彼が逮捕した警監アン・ヨンムクが警察局長の甥だったため、この騒ぎの結果、自分の故郷、カンソンへ異動となってしまうテジュ。
ある事件を掘り始めるテジュ
カンソンに着いた次の日、出勤したテジュは同僚の警察官たちが知り合いのイ・ソンジンからイム・ボクヒ事件の自白を取るために厳しい取り調べをしていたことを知ります(1988年、当時の韓国はオリンピックを控え、警察は未解決事件の解決に躍起になっていました)。
チャ・シヨン検事は、この事件を解決できそうで、みんなの前で評価されています。しかし、ストッキングや目撃証言などの状況証拠から犯人を絞り込んで逮捕したと言う事で…現場周辺での目撃や血液型の一致…それだけでは証拠にはならないと言われたチャ検事。
直接的な証拠がないことに不安を感じたチャ検事は、再び警察署へ向かい、刑事たちを追い詰め自ら容疑者のイ・ソンジンに会うと言い出します。狙いは自白の獲得。
一方、テジュはイ・ソンジンが自分の知っている人だったため、過去の犯行を洗い直していました。事件の資料も取り出す途中で落として写真が混ざった瞬間、テジュはこれらの事件は連続性があるということに気づきます。

事件は新たな方向へ
検事はソンジンの前にストッキングを置き、触るように仕向けます。ストッキングに触れる彼の反応を見て、自白すれば5年以内に出所させるが、そうでなければ厳しい刑罰を受けることになると脅し、自白を得ます。
もちろんテジュは、チャ検事が引き出したという自白に納得がいきません。
実はそのチャ検事…学生時代、テジュをいじめていた同級生(俳優ムン・ソングン)でした。過去に何事もなかったかのようにテジュを抱きしめる検事。テジュは過去のトラウマがよみがえり、テジュは息すらできなくなります。
テジュは関連がありそうな3つの事件の資料を再検討。しかし、ちょうどその時署を訪れた記者の友人、ジウォンから、チャ・シヨン検事がエース検事として扱われているという話を聞き、担当検事を変えてもらおうと決めます。
次に続く事件
同じ夜、暗い田んぼ道を歩いていた2人の女子学生は、何かに追われて逃げてくる女性と、彼女を追ってきた男を目撃します。クリーニング屋の男でした。
その後、女子学生のうち一人はトンネルを通り抜け、もう一人はその友達が無事に行くか見守っていました。しかし見守っていたはずの友達は姿を消してしまっています。
次の日、イ・ソンジンはイム・ボクヒ事件の犯人として発表され、現場検証のために連行されますが、テジュはもう一人の検事、ファン検事に行き、これらの事件は連続性があり、ファン・ガンエ事件当時、イ・ソンジンは拘置所にいたため、彼は犯人にはなり得ない、この事件は全て繋がっていると情報を流します。
そして、その話をしているまさにその瞬間…新たな事件が発生を知らされる二人。昨日姿を消した女子学生、ユ・ジョンリンが事件に巻き込まれていました。その女子学生は昨日カンソン書店でギボムに話しかけていた学生でした。ギボム(『ソンジェを背負って走れ』キム・テソン役のソン・ゴニ)は、テジュの友達の弟で、テジュの妹のスニョンの恋人です。
ファン検事はチャ検事のところに現れ、被害者は実は4人だったことを告げ、事件を自分の元へ持ってこようとし、事件を奪われることを恐れるチャ検事怒りを隠せません。
かかしの目撃証言
前日の夜、現場周辺を通ったクリーニング屋の妻は目撃証言の中で、かかしを見た気がしたが…後から見ると消えていたと話します。これは女子学生の友達の証言とも一致していて、彼女も野犬の鳴き声を聞き、そこにかかしがあったと話します。
絵が上手だったその学生は、記憶を振り返りながら、思い出せることを描き始めます。
そして現場に向かったテジュは、帽子を一つ発見します。犯人が「かかし」のフリをして現場の近くでターゲットを待ち伏せしていたと気づいたテジュ。
そして、現場にいたテジュのもとに現れたチャ検事。チャ検事は、テジュがこの事件を担当することになったと知り…不気味に笑いながらこう言います。
「テジュ、お前をそばに置くために、この事件をもらってくる」

事件の再始動とギボム
テジュのおかげで、無実だったイ・ソンジンは釈放され、彼はテジュに心からの感謝を伝え、家へ戻ります。ファン検事は、この事件が連続性のある事件であることを公表し、記者会見を開きます。
一方、チャ検事はデモ活動の案件を担当することに。もちろん、チャ検事は裏でこの事件を自分の担当に戻そうと動いていました。
小学校教師であるテジュの妹スニョンを迎えに来たギボム。
ギボムは食事をしながらテジュの妹、スニョンにプロポーズをします。特別に裕福でもなく平凡な彼ですが、その申し出を受け入れるスニョン、幸せに見える二人です。その後、スニョンは兄のテジュを訪ね、ギボムと結婚することを一方的に告げます。
一方、テジュは捜査を加速させ、まずは過去の未遂事件から調べることに。
調査中、犯人から逃れた女性から「その男は痩せ型で平均的な体格で、手が女性のように柔らかかった」(これは実際起こった事件と一致します)という手がかりを得たテジュ。そして、女性は犯人が自分のバッグを持っているはずだという証言です。
これが伏線なのか分かりませんが、場面が切り替わるとカンソン書店で本を整理しているギボムの手がクローズアップ。
そして書店を訪れたユ・ジョンリンの友人、ミンジョンは、店の遺失物ボックスに入っているピンク色のハンドバッグを偶然みます。彼女がそのバッグについて尋ねると、ギボムは「誰かが置いていったまま取りに来ない」と何事もないかのように答えます。
捜査の歪みとギボムの事情
署に出勤したテジュは、チャ検事が捜査の邪魔をしようと、チームを学生運動の鎮圧にチームを連れ出したことを知ります。現場に到着したテジュは、学生たちが激しく取り締まられている光景を目にし、トラウマが蘇り、耳鳴りが起き、一瞬動けなくなります。
我に返ったテジュは、学生に暴力を振るっていた仲間と揉み合いになり、その隙に学生たちは逃げていきます。その学生を追いかける中で、その一人がギボムであることに気づきます。
その夜、テジュはギボムを訪ねて問い詰め、「学生たちがあんな目に遭っているのを見ていられない」というギボムの言葉に対し、「やめないならお前が危険な目に遭うし、次は捕まえる」と警告してその場を去ります。
ギボムは…本当にミステリアスな人物ですよね。
この後、このままでは犯人を捕まえられないと判断したテジュは、囮捜査を行うことに。
この調査に積極的だったイ巡査が足を怪我したことで、犯人を誘き出すための囮として、自ら志願した友人、ソ・ジウォン記者がその役を担うことになります。

崩壊していく状況と次の事件
翌日、スニョンは学校で教え子が交通事故に遭って病院に運ばれたという知らせを受け、急いで同僚教師と車で病院へ向かいます。その様子をギボムが目撃し、明らかに動揺した様子を見せます(同僚教師が男だったから)。
見舞いを終えた後、同僚教師はスニョンを家まで送ると言って車に乗せますが、その車内で彼は「毎日一緒に帰ろう」としつこく口説いてきます。
それに嫌気がさしたスニョンが婚約者の話をすると、その男は「相手はどんな家の人間だ?お前が酒場のマダムの娘だって知って結婚するのか?」と彼女を侮辱します。
車を止めるよう言っても拒否され、スニョンは無理やり車を止めようとするのですが、そのまま車は横転して事故に遭う羽目に。
ちょうどその頃、書店に集まっていたギボムとその仲間たち。ギボムは、忘れ物から、ミンジョンが書いた、事件当日の記憶を元に描いた絵を目にします。そこに描かれた案山子の帽子を見て、不気味な笑みを浮かべる彼。
その夜、囮作戦を遂行していたテジュは、すでに犯人に捕まっていた女性の悲鳴を聞きます。その騒動の中でチームはジウォンを見失うのですが、彼女は結局、何かに攻撃を受け、意識不明の状態で発見されます。
病室でジウォンのそばにいたテジュは、そのとき自分の妹も病院に運ばれていることを知らされ、カメラと記者たちの前で妹を侮辱した彼女の同僚に手を出してしまい、、、そのまま留置場に入れられることになります。
その間にチャ検事は、学生運動に関わっていたと思われるファン検事の大学生の息子に強い圧力をかけることで彼を追い詰め、連続事件を再び自分の手に入れることに成功してしまいます。
『かかし』3話・4話までの展開・あらすじまとめ(ネタバレあり)
一緒に働くためテジュを陥れ、表で助けるチャ検事
チャ検事はテジュに、スニョンの同僚にしたことを謝れば、今回の件はなかったことにして、法的な処罰なしで静かに辞表を出し、警察を辞められるようにすると提案します。しかし、テジュの答えはもちろん「ノー」。
スニョンを侮辱した同僚の男性は、既婚者であるにもかかわらず、スナックバーなどに出入りし、女性と遊ぶのが好きな、もともと質の悪い人間だったようですね。
彼は裏でチャ検事と口裏を合わせ、テジュの処罰について話します。また、スニョンが自分を暴行などで訴えようとしていることについて、どうすればいいか相談します。するとチャ検事は彼に、「スニョンは私が既婚者だと分かっていたのに、私に近づいてきて離婚を要求し、そのことで口論になった」と言えばいいと助言します。
その結果、教師の妻は病院でスニョンを問い詰め、大騒ぎに。その場面を目にしてしまったのがギボムの母でした。彼女はスニョンのことを気に入ってくれていましたが、スニョンに「あなたは、あなたの母親と同じで、何もしなくても男が寄ってくる。ギボムとは別れてほしい」と言います。
一方、ジウォンを追いかけた犯人のおかげで、その場を逃げることができた女性は、犯人が「被害者は5人だ」と言っていた人がいたと証言。彼らはもう一人の被害者を見つけます。
その間、意識不明だったジウォンも目を覚まし、実は彼女が犯人の顔をカメラで撮っていたことがわかりました。しかし、フィルムを現像してみると、写真はひどくぶれていて、誰なのかわかる状態ではありませんでした。
その後、テジュはチャ検事と教師が密会しているところで、彼らの会話を録音しようとしますが、それがバレて、テープはチャ検事の手に渡ってしまいます。驚くことにチャ検事は、そのテープを使ってテジュを助け、マスコミには二人が友達であることを大々的に公表し、テジュが自分のこの事件を担当せざるを得ない状況を作ろうとします。
一方、ギボムは一連の事件の真相を友達から知らされ、急いでスニョンのもとを訪れます。ギボムはスニョンに、そんなことをした男はどこにいるのかと尋ねますが、彼女から別れを切り出されてしまし、ショックを受けてしまいます。
ミンジュ
そしてテジュは、約束どおり仕事を辞め、家へ帰る途中……。
被害者の学生の友人であるキム・ミンジュが、カンソン書店の前で中をのぞき込んでいるのを見つけます。
ミンジュは、自分の絵が入った画材筒を置いてきてしまったので取りに来たのだと話し、テジュはもう警察を辞めたのだと伝えます。
するとミンジュは、彼にキャラメルを渡しながら、「おじさんが必ず犯人を捕まえてください」と言って去っていきます。
その後、再び書店を訪れたミンジュは画材筒を受け取り、家へ帰るのですが、彼女が店を出た直後に雨が降り始めます。
心配になったギボムは、彼女に傘を持っていくと言って兄にいい、書店を出ていきますが……。
暗闇の中、ミンジュを追う影。
翌日、彼女は結局、森の中で発見されます。そして現場に現れたテジュは、その姿を目撃し、ショックで意識を失ってしまいます。
テジュの決心
キム・ミンジュの解剖後の説明を聞いているテジュとチャ検事。
テジュは、ミンジュの遺体から見つかったキャラメルを見ながら、自分のポケットにまだ入っていたミンジュからのキャラメルを取り出し、ある決意を固めます。
「俺たちで犯人を捕まえよう」そうチャ検事に告げるテジュ。
そして場面は、実はこの二人が高校時代には友人だったことを見せる回想シーンへと移ります。
テジュの母親は、一人で子どもたちを育てるために居酒屋で働いていた人でした(というと韓国だと男の人と付き合いがあるスナックに近いかもしれません)。
そしてテジュは、幼い妹スニョンの面倒を見ることが多く、裕福だったチャ・シヨン検事の家から時々おやつをもらってきては、スニョンに渡していたのです。
そんなふうに、二人はかけがえのない友人だったはずなのですが、ある日シヨンが何かを見てから、テジュをひどくいじめるようになります。
辞表を出したものの、自分と一緒に働く決意をしたテジュとどうしても一緒に事件を追いたかったチャ検事は、自分の兄に頼み、テジュを復職させます。兄は、この事件をお前の手で終わらせることを条件にします(この二人、おそらく母親が違います)。
こうして復職したテジュは、自分が突然辞めたことで拗ねていた後輩と一緒にジャージャー麺を食べに行き、実はその後輩がその店の息子だったことを知ります。
ギボムをまつわる状況の変化
一方、スニョンは学校を休職し、家へ帰る途中でした。
スニョンを車でひきそうになったチャ検事は、お腹を鳴らしている彼女を連れてパン屋へ行き、パンを買ってあげます。そしてその様子を、スニョンを苦しめた以前の同僚教師がこっそり見ていました。
スニョンの後をつけるその男。そして、その男を追うギボム。
ギボムは、スニョンにぴったりと近づいたその男に暴行を加え、気絶させてしまいます。
その時、通りかかった人がその様子を見て悲鳴を上げると、びっくりするギボム。
さらにスニョンも現場に現れます。
「逃げよう」と言うスニョンに引っ張られ、ギボムはその場から走り去ります。
一方、現像された写真はぶれていて、犯人の顔を判別することはできませんでした。
しかし、犯人がジウォンの前でだけ顔を隠していたこと、そしてその顔を隠すのに使った見覚えのあるハンカチから、テジュとジウォンの推理が始まります。
その頃、カンソン書店には、スニョンを苦しめた教師に暴行を加えた件で、ギボムを容疑者として連れていくため、警察が押しかけてきます。
ちょうどその時、テジュはギボムの兄から、ミンジュとギボムの接点について聞かされます。さらに、ギボムがミンジュに傘を届けに行くと言って出ていったまま、家に戻っていないことも知るのです。
テジュに着替えを届けるため警察署に立ち寄ったスニョンは、テジュの後輩刑事から、あの男性教師の意識が戻っておらず、殺人未遂になる可能性もあると聞かされます。
そこに一緒にいたシウォン。話をしている途中で飲み物をこぼしてしまい、スニョンのハンカチを目にした彼女は、犯人のハンカチに入っていた刺繍と、スニョンのものが同じだと気づきます。
そしてテジュとジウォンは、もしかするとギボムが犯人かもしれないということに気付きます。
一方、病院では、その男性教師が意識不明の状態から目を覚ましていました。
しかし、その事実をまだ知らないスニョンは、ギボムに殺人未遂になるかもしれないと伝えます。ギボムはすっかり怯えてしまう様子。
スニョンは彼が学生運動をしている事実もあるし、ギボムに一緒に逃げようと提案しますが、ギボムはスニョンを閉じ込め、一人で逃げ出してしまいます。
ところがスニョンは扉を開け、ギボムの後を追っていくうちに、犯人に追われることになってしまいます。そしてチャ検事は、偶然その現場を通りかかり、犯人と対立することに。
一方、逃げていたギボムは民家の近くを通りかかったところで警察に捕まり……。
その時、誰かが民家の中で再び犯人に襲われているような場面が映し出されます。
1話から、どこかギボムを犯人に見せようとしているのかなと思っていましたが……結局、こういう展開になってしまうのでしょうか。
実際の事件でも、警察は犯人を捕まえることに躍起になっていたそうですが(このせいで多くの人が犠牲になっています)、ドラマでも状況証拠だけを見て、無実のギボムを捕まえ、犯人に仕立て上げてしまうような不利な状況が起こるのではないかという、嫌な予感がします。
そして、なぜか私はずっと、あの末っ子刑事が怪しいような気もしているんですよね。
皆さんはどう思われましたか……?
いったい犯人は誰なのでしょうか。
『かかし』5話・6話の感想・考察 時代背景(ネタバレあり)
今週の『案山子』は、真犯人を追う物語でありながら、同時に「犯人にされてしまう人たち」の物語でもありました。
実際の事件で、政治的な理由から何としてでも事件を解決しようと躍起になっていた検察や警察関係者たちが、どんなことをしていたのか。そこをかなり正面から描いていたように思います。
ギボムが追い詰められていく過程は、ただの捜査ではなく、時代そのものの暴力のようにも見えました。
そしてチャ検事とテジュの関係も、事件の真相だけでなく、多くの人の人生を狂わせていく大きな分岐点になっていたように思います。
第1話でも、加害者に仕立て上げられて警察で取り調べを受ける人物の話から始まりますよね。今回はより深刻な形で似たようなことが起こっています。
実際の事件でも、6人もの人たちが濡れ衣を着せられ、警察によるさまざまな自白の強要や高圧的な捜査によって、命を落としたり、刑務所で収監生活を送ったりしました。
そして2019年に真犯人が捕まったことで、ようやく刑務所から釈放された人もいました。最終的には、国から補償金も支払われたそうです。
だから今回のエピソードは、単に「犯人は誰なのか」を追う回というより、真犯人を見つけられなかった時代に、無関係な人たちがどうやって“犯人”にされていったのかを見せる回でもあった気がします。
ギボムを追い詰めた強圧捜査
そして今週放送された内容では、ギボムとギボムの兄が、警察とテジュから疑いの目を向けられる人物として描かれていました。
ギボムは、結局そのまま捕まってしまったのだと思っていたのですが、実は一度逃げてまた捕まっていたようでした。その場の近くにいた彼の友達もそれを見ていたけど、警察にこの事実について黙るように言われます。
顔は隠されていますが、ドラマの中の現在の時間軸でイ・ヨンウだと知られている犯人の話を聞く2019年のテジュを見ると、テジュがチャ検事と手を組んだことを後悔しているような内容が出てきます。なぜなら、それは本当に多くの人の人生を揺るがしてしまった関係だったから。
チャ検事は犯人に襲われたものの、犯人の顔を見れてません。テジュの妹も顔は見ておらず、ただ犯人が足を引きずっていたことだけを覚えていました。
それでも、ギボムが犯人扱いされるようになると、状況は一気に暴走していきます。あちこちを探し回られ、ギボムの家が家宅捜索を受ける。本当に、見ていて息が詰まるような展開でした。
何よりつらかったのは、ギボムがただその周辺にいたというだけで、犯人逮捕に血眼になっている警察たちから拷問を受けるところでした。さらに、彼が学生運動をしていたことを口実に、一連の事件の犯人だと虚偽の自白をするよう迫られるんですよね。
1980年代後半というのは、政治的に見れば、まだ独裁政治から抜け出して10年も経っていない時代でした。政権も元軍人たちが大統領となって握っていた時期だったので、本当に恐ろしいことがたくさんあった時代だったと思います。
当然ながら、一般の人々の人権が尊重されるという意識も、今とは比べものにならないほど足りなかった時代でした。
こんな重大事件の犯人として自白しろと警察に脅されたとき、自分は何もしていないのに、家族を守るためには嘘の自白でもしなければならなかったギボムの気持ちを思うと、本当に胸が痛くてたまりませんでした。
そして、まともな科学捜査というものがまだ十分に確立されていなかったあの時代。たとえ犯人の体毛を持っていたとしても、それを分析して何をどう調べればいいのかさえ、今のようには分からなかった時代だったんですよね。
そんな時代だったからこそ、たった一人の犯罪者のせいで、どれほど多くの人たちが苦しんだのか。今週のエピソードでは、それを生々しく見せられて、本当に心が痛みました。
チャ検事とテジュ、歪んでいく関係
そもそもテジュがチャ検事と高校時代の友人だったのに関係がこじれた理由も、チャ検事がある日、自分の父親とテジュの母親が男女の関係にあったことを知ってしまったからでしたよね。しかもチャ検事自身は、もともと正妻の子どもですらなかった。
自分が父親の愛人の子であり、これまでずっと父親に認められようと必死に生きてきた立場だったことが明らかになったとき、ああ、この人はその劣等感や執着のせいで、いつか越えてはいけない一線を越えてしまうかもしれないなと思いました。
そして、やはりチャ検事はこの嫌な予感のまま行動していましたね。
彼にとって大事なのは本当に真犯人を見つけることなのか。それとも、自分の立場を守ること、父親に認められること、そして政治的に利用できる“犯人”を確保することなのか。その境界が、どんどん危うくなっているように見えました。
すでに書店のイ氏が容疑者だとマスコミに発表してしまったチャ検事は、これからどうするのでしょうか。
もし真犯人がギボムではないという事実が広まれば、自分がきちんとした証拠もないまま情報を流してしまったことになります。それは父親の政治的な立場にも影響を及ぼすかもしれませんし、さらに自分自身も認められない立場に追い込まれることになるはずです。
そう考えると、たとえ真犯人が現れたとしても、彼はどうにかしてギボムを犯人のままにしておこうとする可能性もあるんですよね。
テジュにとっても、チャ検事と手を組んだことは、2019年のテジュがその関係を後悔しているくらい、多くの人の人生を狂わせてしまったからなのかもしれません。
『かかし』後半で真犯人は見えてくるのか
6話を観ると、わらにもすがる思いで初めて試みる科学捜査によって、今度はギボムの友人が容疑者として浮上しそうな流れになっています。
現在2019年のテジュが話をしているイ・ヨンウという人物とは名前が違いますが、テジュとイ・ヨンウが知り合いであること、すでに互いを知っているような言葉が出ていることを考えると、果たしてギボムの友人が本当に真犯人なのか。そこはまだ簡単には判断できない気がします。
ギボムの子どもを妊娠している自分の妹スニョンを守るために、テジュもまた自分が見たい証拠だけを見て、ギボムの友人を犯人だと決めつけてしまうのでしょうか。
このドラマが怖いのは、悪い人だけが間違えるわけではないところだと思います。誰かを守りたい気持ちや、早く事件を解決したい焦りや、親に認められたい気持ち、自分の立場を守りたい欲望が重なったとき、人は真実ではなく、自分が信じたいものを見てしまうのかもしれません。
今回のエピソードで描かれたのは、真犯人そのものの恐ろしさだけではありませんでした。むしろ、真犯人を捕まえられない社会が、代わりに誰かを犯人にしてしまう怖さ。そして、その過程で普通の人たちの人生が簡単に壊されてしまう怖さだったと思います。
今週でドラマ『かかし』も折り返し地点まで来ました。
こうしたすべての出来事が複雑に絡み合って、いったいどんな結末へ向かっていくのか。本当に気になりますし、来週がとても待ち遠しいです。

『かかし』7話・8話 ネタバレ感想 | ギボム、そして明らかになる犯人の素顔
7話 普通の人生を生きたかったギボムの死
最終的には罪がないと分かるイム・ソクマンが新たな容疑者として浮上したことで、幸いにもギボムは釈放されます。
家族たちは、彼が帰ってくるのを待ちながら、ささやかな宴の準備をしていました。
けれどギボムの体は、すでに拷問によってひどく壊れてしまっていました。
突然拘置所に入れられたことで、病院で治療を受ける機会も失い、そのまま放置された状態だったのです。
家に帰る途中……。
彼は結局、敗血症で命を落としてしまいます。
これがドラマ上の演出だったら、どれほどよかっただろうと思います。
でも実際の事件でも、こうして命を落とした人がいたという事実が、本当に苦しくて……。
ギボムとスニョンが彼の想像の中で結婚するシーンが、実際、多くの人がこうやって普通の人生を奪われてしまったんだと思うと、あまりにも美しく悲しく感じました。
たった一人の悪行が、どれほど多くの人を苦しめたのか。
そして7話のラストでは、ついに犯人が明らかになります。
ついに明かされた犯人、そして1話にあった伏線
2019年の現在の場面で、突然、犯人の顔が視界に入ってくるのですが、私は思わず声が出そうになるほど驚いてしまいました。
人の勘って、ありますよね。
実は私は、かなり前の感想にも書いたように、カメラはずっとギボムを犯人のように見せているけれど、意外とギボムの兄ギファンが犯人かもしれないと思っていました。
その理由は、実際の事件で、長い間捕まらずに犯行を重ねていたイ・チュンジェが逮捕されるきっかけとなった事件が、自分の妻の妹に関する事件だったからです。
スニョンは、自分の妻の妹ではなく、弟の妻になる予定の人なので、正確には義妹になる存在です。
それでも、テジュの家族であるスニョンが事件に関わっているのなら、ギボム、あるいはギボムの家族が関係しているのではないかと感じてました。
そして決定的な手がかりは、実はドラマが始まった1話の一番最初の場面で、すでに示されていました。
韓国語で漢字が読める方なら、このファイルに書かれているハングルの名前は「イ・ヨンウ」なのに、漢字では「イ・ギ……」と書かれていることに気づいたかもしれません。
最後の一文字はぼやけていて、はっきりとは見えないのですが。
6話で、テジュはイ・ヨンウに対して「俺は友達を失った」と言っていました。
その友達というのは、まさかギファンのことだったのでしょうか。
そして、さらに惨くて悲しかったのは……。
ギボムが死ぬ前に、ギファンが犯人だということに気づいていたことです。
自分の血を分けた兄弟が、あんなにも恐ろしい事件を起こしていたと知ったとき、ギボムは一体どんな気持ちだったのでしょうか。
なのに、ギファンはなんの罪悪感も持ってない様子だったのが、、、この世には少なからずこういう人も実在する、というのが怖くなってしまった場面でした。
実際の事件をモチーフにしているので、ある程度の結末は予想できる部分もありますし、似た展開も多くあります。けれど、現実とは違う部分もたくさんあるため、このドラマがどんな結末へ向かっていくのか、とても気になります。
こういう作品の場合、ドラマの中で犯人をどのタイミングで視聴者に明かすのかは、かなり悩ましい部分だと思います。けれど今回は、中盤の時点で犯人が明かされたことで、これからどのように物語を展開させていくのか、さらに気になる構成になりました。
私が最初、ギファンを少し怪しいと思いながらも、ドラマの中では比較的若い人物たちを疑っていたのは、実際の事件でイ・チュンジェが、軍隊を除隊したばかりの20代前半だったからです。末っ子刑事やギボムなどを疑っていたのも、そのためでした。
でもドラマでは、すでに既婚者であるギファンを真犯人として設定しています。実際にも、イ・チュンジェが別の事件で検挙されたときには、すでに結婚して妻子がいる状態でしたよね。
そう考えると、見る側にいろいろな推測をさせるこの展開は、かなりよくできていたのではないかと思います。
8話 テジュに濡れ衣を着せるチャ検事
7話で犯人が明かされてから、このドラマは一気に破滅へ向かっているような感じがします。
事件や事故が、次から次へと押し寄せてくるというか…。
ギボムは拷問による敗血症で亡くなり、葬儀が行われるのですが、ちょうどその頃、チャ・シヨン検事の母親も、認知症による闘病生活の末に亡くなったようです。
ギボムの葬儀には、彼を拷問した警察官たちはもちろん顔も見せません。むしろ、人脈が重要なチャ検事の母親の葬儀に行っているようです。
テジュはあまりにも腹を立ち、チャ検事のお家で一度は意識を失い、病院に行きますが、その後もう一度そこへ向かい、チャ検事に手錠をかけようとします。
政界の重要人物たちも集まっていた場所で手錠をかけられる屈辱を受けたチャ検事は、今度はテジュを「ギボムを拷問した刑事」として濡れ衣を着せ、懲戒処分を受けさせようとします。
ジウォンも記者として、このすべての事実を明らかにしようと奔走しますが、自分が働いている新聞社も、ソウルの先輩が働いている新聞社も、すべてチャ・シヨンや、彼と結婚する予定の相手と関係があり、なかなか事実を一般の人に知らせられない状況。
スニョンは、一時的にギボムが死んだという記憶を失っていましたが、遅れてその事実を思い出し、チャ・シヨン検事を訪ねて彼とその婚約者に手を挙げてしまい、事態はさらに大きくなっていきます。
テジュとチャ検事の同盟は、本当に短かったですね。こうして再び、テジュとチャ検事は完全な敵同士になってしまったようで。
テジュは、チャ検事の異母兄を通じて、チャ検事の母親もまた、自分の母親と同じ酒場で働いていたマダムだったことを知り、これまでチャ検事が「自分とお前は階級が違う」とでも言うようにテジュを見下していた、その内側にあったものを知ってしまいます。
一方、真犯人であることが明らかになったギボムの兄ギファンは、このすべての出来事が起きている間に書店を閉め、妻の実家がある清州へ引っ越すことにします。
ギファンを尋ねて謝るテジュに「もう二度と会わないことにしよう」というギファンですが、内心捕まるのが怖いのか体が震えてましたね。
その後ギファンは、新たな犯人として仕立て上げられ、自白を迫られながら拷問を受けているソクマンのもとを訪ね、彼の心に、小さな石をひとつ投げ込みます。
「拷問を受けてギボムのように死にたくないなら、素直に認めたほうがいい」と。
そして、ギボムを探しにソクマンの家へ行き、ギボムのハンカチをこっそり置いてきたのも、ギファンの仕業だったことが明かされます。
本当に、悪魔のような人間の素顔が明らかにされました。
ソクマンの虚偽自白
結局、ソクマンはその後もさまざまな拷問を受け、ついには自分がやったと嘘の自白をしてしまいます。
続いた現場検証では、家に侵入したときに塀を越えて入ったと、適当に説明するソクマン。けれどソクマンには小児まひがあり、脚に力が入らない状態でした。現場検証で塀を越えることができないと、警察官たちが彼を支えて、塀を越えるふりをさせるという、あまりにもおかしな場面が起こります。
どう見ても、彼が真犯人なのかどうか分からない、強圧的な現場検証でした。
8話でソクマンが受ける苦痛や現場検証の内容は、濡れ衣を着せられ、20年間も服役したユン・ソンヨさんが実際に経験した状況を、そのまま再現したものです。
警察は脚の不自由な彼に、脚を使うような拷問を加え、何日間も眠らせなかったといいます。ドラマでは7番目の事件として描かれていますが、実際には8番目の事件の内容で、実際には死刑ではなく無期懲役が宣告されました。現実の事件では、ユン・ソンヨさんは弁護士が変わるなど、まともな弁護も受けられないまま求刑されたんだとか。
そして、こうしてドラマでは“犯人を捕まえた”功績によって、事件に関わった警察官たちは表彰まで受けることになり、、、ここでは本当あきれてしまいました。
でもテジュを慕っていた末っ子刑事は、表彰を受けながらも、どこか表情が晴れないように見えますね。
まだ終わっていない事件、テジュはスニョンを守れるか
その間、ギファンはまた別の犯行を重ねていました。
そのうちのひとりは、スニョンが知っている幼い小学生。実際の事件でも、最後まで失踪扱いのままだった小学生の事件がありました(この事件も、本当は警察が遺体を見つけていながら隠していて、2019年犯人の自白によって明らかにされました)。
ある日ギファンは、「ギボム、お前が寂しくないように、スニョンをお前のそばに送ってやろうか」と言いながら、スニョンの後をつけています。しかし、その時現れた小学生が代わりに犠牲に。
この日テジュは、自分の妹を守るために懲戒を受け入れ、ムウォンへと去っていきます。
この時まではソクマンという真犯人を捕まえたと思って去ったテジュでしたが、ムウォンで似た手口によって亡くなった遺体を再び発見します。彼は直感的に、この事件はまだ終わっていないのだと悟ったように見えます。
『かかし』9話・10話 ネタバレ感想 | 警察の不祥事
8話の終わりは、「正義」とはあまりにも遠い、誰にとっても息苦しい結末でした。
犯人が明らかになったことで、ここからはその犯人とともに、今後の事件がどのように進んでいくのかを追えるように。
今週も、実際にあった事件と重なる展開が描かれていて、観ていて胸が重くなりました。
まだソクマンの裁判が進行している最中なのに、すでに関係者たちは表彰まで受けている状況。さらに婚約式まで控え、おめでたいことばかりに見えるチャ検事の前に、歓迎したくない客であるテジュが再び現れます。
ソクマンが逮捕され、ムウォンへ左遷されたテジュは、ムウォンでまた別の遺体を発見し、それを持ってカンソンへ向かいます。そして、連続犯罪を犯した犯人だけが知っているはずの細かな犯行方法について、解剖を担当した医師に確認を取ります。
それは、実際に遺体を見たことのある人間にしか分からないパターンでした。
解剖医を証人として立てたテジュは、ソクマンの犯行が模倣だったとしても、彼は連続犯ではないとして、公訴状の変更を求めます。そしてその裁判には、ギファンの姿もありました。
裁判後、同じく裁判を見ていたジウォンを待っていたギファン。
母親の安否を尋ねるジウォンに、ギファンは「ムウォンの親戚の家にいる」と話します。ジウォンがこの話をギファンから聞いたことで、もしかするとこの先、何かが起きるのではないかという嫌な予感がしました。
また、スニョンの教え子であり、1か月前から行方不明になっていて、両親が必死に探している8歳のヘジン。警察では誰も積極的に捜査を進めようとしない中、テジュが自ら動き、連続犯罪に巻き込まれた可能性を提示します。
そうして、ヘジンを最後に山で目撃したスニョンの証言をもとに、裏山を捜索することになります。
ところがチャ検事は、突然テジュをソクマンの裁判の証人として立たせます。そこには何か企みがあると感じたジウォン。
予想どおり、チャ検事は「カン・テジュ刑事も、解剖された遺体を見ている。そして彼はムウォンにいた」と言い、テジュを犯人に仕立て上げるかのような発言をします。
しかしテジュには、その日当直だったという明確なアリバイがあったため、自分ではないことをあまりにも簡単に証明することができました。
このシーンを見ていた時は、チャ検事がテジュに罪をかぶせようとしているのかと一瞬思いました。
でも実際には、チャ検事はもっと大きなことに関わっていて、テジュが裏山の捜索に行けないようにするために、彼を裁判に呼んでいたんですね。
ドラマでは、チャ検事と彼に関わる刑事たちが表彰を受けるまさに前日、山中で子どもの遺体を発見し、連続犯がまだ捕まっていないことに気づきます。そして、その遺体を移して密かに埋める、という流れで描かれていました。
実際の事件では、失踪から5か月後、民間人が刑事ひとりと一緒に山を捜索していた途中で遺体を発見していたそうです。しかし、その場にいた刑事がその遺体を別の場所に埋め、発見された所持品などの遺留品も警察が廃棄したとされています。
また、警察の報告書はイ・チュンジェの自白とは異なる内容で作成されていたことから、最初から隠蔽を目的に、失踪ではなく家出として処理し、それ以上捜査が進まないようにしたとも言われています。
ドラマと同じように、連続犯罪が解決したという空気の中で、犯人を逮捕したとして大勢が昇進していく時期でした。そこで白骨遺体が見つかれば、新たな事件が明るみに出て、状況が非常にまずくなる。だからこそ、このような行動を取ったのだと考えられます。
このような警察による信じがたい隠蔽が2019年に明らかになるまで、被害者家族は娘の遺体さえ見つけられないまま、長いあいだ娘が帰ってくることだけを待ちながら生きてきました。
そして事件の全貌が明らかになる過程で、あまりにも大きな苦しみを抱えた両親は、訴訟の途中で相次いで亡くなっているようです。
ドラマのように、実際の犯人もこうした警察の行為をすべて知りながら、どこかでそれを見て笑っていたのかもしれないと思うと、本当に恐ろしくなりました。
二度とあってはならない、まさに前代未聞の事件だったのだと、改めて感じました。
「かかし」というタイトルの意味
事件がまだ解決できていない途中でドラマが犯人が誰かをバラしたのは、このドラマは犯人を暴かすよりも、この事件によって変わってしまった人々の人生、そしてその時代の影を見せているから、と言うのがわかるのは10話でした。
実際の事件ではただ噂でみんながなんとなく知っていたことを、テジュがわかってしまうと言う流れで話が始まります。
末っ子刑事のデホが山中で地面を掘っているところを見つけしまうテジュ。
そしてデホは、テジュにヘジンが死んだと話します。
前回、警察の表彰を受ける場面で、末っ子のデホがどこか後ろめたそうな表情をしていたのは、このことが理由だったんですね……。
すべての話を聞いたテジュ。
デホは、山の捜索に出るときに、一度埋めた遺体をまた掘り返して元の場所に戻しておいたものの、それが消えてしまったとも話します。
怖くて、これ以上警察官としてやっていけなくなると思ったから遺体を動かした、と言うデホ。
このときテジュが、「お前がかかしなのか? 人間がどうやったらそんなことをできるんだ」と言うのですが……ああ、だからこのドラマのタイトルが『かかし』なのかと思いました。
実際、この連続事件は、まだ現在の開発が進む前の田畑の多い地域で起きていて、その地域には当然、野生動物から稲を守るための「かかし」がたくさんありました。長い間真犯人が捕まらず、もどかしさを感じていた警察は、かかしに「自首しなければ天罰を受ける」などとかかしに書いて置いたとも言われています。
「かかし」というものは、人間のふりをして立っているもの。形だけは人間のように見えても、実際には人間としての役割を果たせていない時、「かかしのようだ」と言うことがあります。
この言葉は、当時事件を解決できなかった公権力の姿を風刺しているのではないかと思いました。また、人間でありながら人間とは思えない、悪魔のようなことをして歩いていた真犯人を指している言葉のようにも感じます。
どうして人間が、そんなことをできるのか。姿は人間だけど実際は人間ではない「かかし」
デホとテジュは、ヘジンの遺体を誰が動かしたのかを突き止めようとしていて、チャ検事と一緒に動いている刑事ふたりが、遺体がなくなった事実を知らないと分かると、それなら遺体を動かしたのはチャ検事だと考えるようになります。
チャ検事とスニョン、隠されていた縁
そして、チャ検事に問題が起きます。
彼女の婚約者は、チャ検事が本妻の子供ではなく、酒場で働いていた女性の娘だということに気づきます。そんな汚れた血を持つ人間との結婚はできないから取り消してほしいと言う彼女。さらに、チャ検事が知らなかった重大な事実、父親に婚外子がいたことまで言ってくる婚約者。
その婚外子が……まさか、まさかのテジュの妹「スニョン」でした。
チャ・シヨン(시영)。
そしてカン・スニョン(순영)。
名前まで、영と文字を入れて、同じ世代の名前としてつけられていたんですね。
シヨンは、そんな異母妹の恋人を……結果的に死に追いやったことになりました。
スニョンとチャ検事の父親は、チャ検事の婚約者が婚外子の件で自分を脅し、結婚を破談にしようとしていることを知ります。そして、いっそ先にスニョンとの関係を公にすることを選びます。
ソクマンの裁判と、現在へ続く後悔
一方、ソクマンの姉は、自分の弟が殺人犯として裁判を受けていたことを、テレビを見て初めて知りジウォンに連絡を入れます。ジウォンはソクマンの姉に会い、実は事件があった日の夜、ソクマンは姉に会っていたこと、そして姉がふたりで会った事実を話さないように言ったことを知ります。
警察は、また山で発見された遺体が同一犯の手口だと確信し、再捜査を進めようとします。しかしソクマンは、模倣犯としてそのまま裁判が進められていました。
テジュは、ジウォンの話を受けて、放射線検査でもう一度、ソクマンが働いている農機具修理店の店主の体毛を調べ、彼がソクマンよりも誤差率が低い結果が出たことを知り、この検査は信用度が低いことを確認します。
その間、スニョンがチャ・シヨンの妹だと分かり、ショックを受けたテジュは彼女を別の場所へ行かせようとしますが、スニョンは自らチャ検事の父親の家へ行き、そこで一緒に暮らすことに。
チャ検事のもとを訪ね、スニョンを戻せと言うテジュ。するとシヨンは、異母妹のもうひとりの兄であるあなたは、私にとっても兄弟のようなものだと言い、望むものを言えと話します。
待ったかのようにヘジンの遺体を元の場所に戻せと言うテジュ。
彼は農機具修理店の店主の体毛検査の結果を差し出し、自分が犯人を知っているかのように話し、もしまた、別の遺体が発見されたら、そのときヘジンの遺体も返してもらうという取引をする二人。
そして間も無くまたもや発見されて別の遺体。
約束通り、テジュはヘジンの遺体を引き取りに行くため、実はソクマンが犯人じゃないかもしれないと体毛検査の結果を持って証言するため裁判に行くはずが、いけなくなってしまいます。
代わりに裁判へ行ってしまうジウォン。そして、検査結果を見てそれがテジュに見せてもらった検査結果だったと気付いたチャ検事。彼はテジュが検査結果で自分をだましたことに気づいてしまうのです。
そして結果ソクマンは、無期懲役を宣告されてしまいます。
もちろんチャ検事はテジュにヘジンの遺体を返しません。
そして現代に戻った場面で、テジュはギファンから、テジュが犯人として捕まえたソクマンのあの模倣犯罪の件は、実は自分がやっている明かします。
『かかし』結末、最終回に残された、怒りと希望
いよいよ最終回を残すのみとなった『かかし』。
11話は、多くの視聴者にとって、かなりもどかしさの残る回だったのではないでしょうか。
12話の予告編を見ると、ギファンを単独インタビューに呼ぶのは、シウォン。彼は全てのことをライブ番組で暴いてしまうのでしょうか。犯人を特定するため疑わしい人を拷問してきた警察たちもみんなの前で明らかになりそう。
最終回では、チャ議員を含む関係者たちが自分たちの過ちに見合った罰を受ける結末を期待したいです。
『かかし』キャスト情報
カン・テジュ(パク・ヘス)
元刑事で、現在は大学で犯罪学を教えるプロファイラー。30年前に起きたカンソンの未解決事件で真実を守れなかった罪悪感を抱えて生きてきた。真犯人の登場で再び事件と向き合い、歪められた過去を正すため動き出す。
| 年 | タイトル | ジャンル | 配信 | 状態 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 読み込み中… | |||||
チャ・シヨン(イ・ヒジュン)
エリート検事。カンソン連続事件の捜査を主導した人物で、幼い頃からテジュとは悪縁で結ばれている。権力と勝利を選んだ選択が、多くの人々の人生を狂わせた。
| 年 | タイトル | ジャンル | 配信 | 状態 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 読み込み中… | |||||
ソ・ジウォン(クァク・ソニョン)
記者。テジュの小学校時代の同級生で、正義感が強く歯に衣着せぬ性格。連続事件の真相を追う。
その他の人物
イ・ギボム(ソン・ゴニ)
地元の書店主人でありイ・ギファンの弟。
カン・スニョン(ソ・ジヘ)
小学校教師。テジュの妹であり、イ・ギボムの恋人。
イ・ギファン(チョン・ムンソン)
地元の書店主人であり、イ・ギボムの兄。
キム・マンチュン(ペク・ヒョンジン)
カンソン警察署の刑事班長。
チャ・ムジン(ユ・スンモク)
チャ・シヨンの父親であり、軍出身の有力政治家。
